manvaのエンジニアリング魂

エンジニアリング・ものづくり・DIYをもっと身近にするためのブログ。インスピレーションを刺激します。

マウス内蔵キーボードの作り方(ver.0.4) マウスホイールエンコーダ基板の作成

マウスホイールを基板の裏面に付けるため、基板から軸までの高さができるだけ低いエンコーダを探した。普通、小さくて5mmで、それより低いのはアルプスの4.5mmというのがあって、

EC05Eシリーズ|インクリメンタルエンコーダ|アルプスアルパイン

それが限界かな、と思ったが、もう少し探してみると,ロープロファイルスイッチでお馴染みのKailh社が、高さ2.8mmという驚異的なのを出していた。

CEN652812R01-Dongguan Kaihua Electronics Co., Ltd

Aliexpressで5個単位で買えたので,これを使う。

これを固定するためのプリント基板が欲しいので,KiCadで作成する。KiCadの使い方は「KiCadことはじめ」↓を一通りやっておけば,後はネットで調べながらなんとかなる。

manva.hatenablog.com

まずは回路図を作成。エンコーダの回路図シンボルは,標準で入っているライブラリのDevice:Rotary_Encoderというのが,よく見たら小さくスイッチの図になってるし,これで良しとする。キースイッチ3個を一緒に載せて,回路図はこんな感じになった。最初なので,練習としてシンプルなものにした。

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次に、プリント基板のレイアウトを作成。エンコーダのフットプリントが必要だが,こんなマニアックな部品のフットプリントはなさそうなので,「フットプリントエディター」で,自分で作った。と言っても,シルクで四角形を描いて,ピンの位置にパッドを適当に作るだけなので,どうということはない。唯一注意点は,上記のシンボルDevice:Rotary_Encoderの「ピン番号」が番号と言いつつA,B,Cなので,パッドを右クリックして「プロパティ」で,その番号(記号)に合わせておく必要がある(数字じゃなくても入力できる)ということくらい。

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Kailhロープロファイルのフットプリント

キースイッチを取り付ける基板の裏面に取り付ける予定なので,Kailhのロープロファイルスイッチを3つ基板に載せる。Kailhロープロファイルスイッチのフットプリントは,ネットで公開されているものがいくつかあり,↓を使わせてもらった。

github.com

 

使い方:

  1. 上記をダウンロード
  2. 展開したKeebio-Parts.pretty-masterフォルダをKiCadプロジェクトのフォルダにコピーして,フォルダ名をKeebio-Parts.prettyに変更
  3. 「設定」「フットプリントライブラリーを管理」「プロジェクト固有のライブラリー」タブで,フォルダのマークのアイコンでKeebio-Parts.prettyを追加

フットプリントエディターの「表示」「フットプリントライブラリーブラウザ」で眺めてみる。Kailh-PG1350-1u-NoLEDというのが一番シンプルなので,これを使うことにする。

 ダイオードも,Keebio-PartsのDiode_Longというのを使った。

エナメル線をはんだ付けしようと思っているパッドは,どれが良いかわからないので,とりあえずPinHeader_1x01_P2.54mm_Verticalにしておいた。ピンは使わないで直接はんだ付けするつもりだが。

 

自動配線ツール FreeRouting

配線は,自動配線のソフトFreeRouting

https://freerouting.mihosoft.eu/

を使った。ネットに情報がいろいろ出ているが,簡単にまとめておく。

 

使い方:

  1. 上記をダウンロード,インストール
  2. Pcbnewで,「ファイル」「エクスポート」「Specctra DSN」で xxx.dsn を保存
  3. FreeRouterを起動, xxx.dsnファイルを開く
  4. デフォルトのままで「Autorouter」
  5. 「File」「Export Specctra Session File」→xxx.sesができる
  6. Pcbnewで,「ファイル」「インポート」「Specctraセッション」でxxx.sesを開く

ちょっと修正したいところがあって,もう一度やり直したら,上記4.「Autorouter」で「Autoroute interrupted, xx connections not found」と出てできなかった。が,上記2. の xxx.dsn を違う名前で保存してやり直したらできた。

 完成した基板はこんな感じ↓。

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完成した基板を3Dビューアーで見るとこんな感じ↓。

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 これをElecrowに発注してみた。

基板は最少5枚で$4.9,送料$6.46。合計で,だいたい1200円くらい。今どきはこんな値段なのか。プリント基板を初めて作ったので,うまくできているかどうかはまだわからない。さて,どんな物ができるか。